通俗と学術の間                                      

ノンフィクション

ノンフィクション

 わが国においてノンフィクションは多くの場合ノンフィクション小説( Non-fiction Novel )を意味し、虚構を含みます。本シリーズでは、虚構を含まない本来のノンフィクションを刊行していきます。

検証『ある神話の背景』

伊藤秀美 著 A5版 210ページ

  ダウンロード 400円+税  グーグル
  印刷版   1,000円+税  アマゾン

  ISBN:9784990615710(ダウンロード)、9784990615710(印刷版)
  2012年4月10日刊

渡嘉敷島の集団自決を扱った曽野綾子著『ある神話の背景』
この本はどこまで真実に迫ったのか?
依拠する第3戦隊陣中日誌は本物か、取材は適切だったか、
論理は妥当かなど徹底的に検証する。

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船舶団長の那覇帰還行

伊藤秀美 著 A5版 206ページ
  ダウンロード 400円+税  グーグル
  印刷版   1,000円+税  アマゾン

  ISBN:9784990615703(ダウンロード)、9784990615703(印刷版)
  2012年4月10日刊

太平洋戦争末期、米軍の沖縄侵攻直前に渡嘉敷島を訪れた第11船舶団長大町茂大佐は特攻艇の部隊を率いて那覇への帰還を試みるが…
島の集団自決の伏線となったこの事件の真相を当時の軍資料および新たな証言に基づいて解き明かす。

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沖縄戦のトラウマ - 心に突き刺す棘

 保坂廣志 著 A5版 310ページ

  ダウンロード版  1,200円+税   グーグル
  印刷版(POD)   2,600円+税   アマゾン  直 販

  ISBN:9784907625603(ダウンロード)、9784907625160(POD)
  2014年10月25日刊

 沖縄戦からやがて70年、この戦争は人間の罪過を撃つ膨大な記録を生みだし、「命こそ宝(ヌチドウタカラ)」という教訓を生み出した。反面、沖縄戦は沈黙の岩盤と呼ばれ、生存者多数が本当の戦争話を自分の心の奥深く幽閉してしまった。
 悲惨で残酷・無慈悲な戦場で死体に何も感じず、涙も出さなかったのは、そうすることが生存への力となったからである。しかし、そうした心の麻痺は戦争トラウマとなり戦場から生還した人々の夢に侵入し、幸福感を追い出し、大小の暴力を生み出す元凶となった。
 20年余にわたり戦争トラウマを調査した沖縄戦研究者が、日米の膨大な記録の分析、戦争現場のアウトリ-チ、形の復元等を通して、戦争の心の闇に迫る。

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沖縄戦捕虜の証言-針穴から戦場を穿つ- 上・下

保坂廣志 著 A5版 上巻255頁、下巻260頁 
  ダウンロード版   2,100円+税  グーグル
  印刷版(POD)上巻2,800円+税  アマゾン: 直 販
          下巻2,800円+税  アマゾン: 直 販

  ISBN:9784907625634(ダウンロード)
       9784907625238(POD上)、9784907625245(POD下)
  2015年8月1日刊

沖縄戦捕虜尋問調書850人分ほどが米国立公文書館に保管されている。これらは、死から生へと帰還した人達のリアルタイムの肉声であり、問われるままに感情を吐き出した戦場のうめき声である。
 これまでの沖縄戦証言記録は、書き手が戦争体験者から話を聞き、物語としてまとめたものだ。証言に時差があり、書き手の問題意識の差によっても証言が食い違うことも多かった。
 これに対し、尋問調書は戦場でなされた生の証言であり、時間差はない。沖縄人(ウチナ-ンチュ)は、何を考え戦場に立ったのか、防衛隊員の逃亡や戦線離脱、本土出身兵士に対する反応が率直に語られている。兵士にあっては、逃亡兵や遺棄兵士の証言、捕虜は恥か否か、米軍への協力等が記されている。このほか、日米双方の捕虜虐殺や朝鮮半島出身者の痛烈な戦場証言も含まれている。

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沖縄戦と海のモルフェー

 保坂廣志 著 A5版 168ページ

  ダウンロード版   700円+税    グーグル
  印刷版(POD)   2,200円+税   アマゾン  直 販

  ISBN:9784907625641(ダウンロード)、9784907625306(POD)
  2016年2月10日刊

 戦時下の沖縄近海は、米潜水艦攻撃により、定期船、徴用船、疎開船等多数が海没した魔の海域であった。遭難船舶について日本軍は、厳格な箝口令を敷き、誰も遭難船や人の死について語れなかった。その上さらに海の戦争は、生存者の少なさや証言自体の困難さもあり未だ深い海の底に閉じこめられたままだ。
 沖縄戦の深層や姿・形を追い続ける著者は、今回新たに海に眠る戦没者に思いを致し、海の鎮魂書を世に届けるものである。
 題名のモルフェ-は、ギリシア神話に題材をとったもので、海に沈み、今もなお眠りについている人々の姿をたとえたものである。本書を通してもう一つの沖縄戦の実相、海の戦争がいかに残酷きわまりないものであったか理解できるであろう。

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沖縄戦将兵のこころ-生身の捕虜調査-

 保坂廣志 著 A5版 232ページ
  ダウンロード版  1,100円+税   グーグル
  印刷版(POD)   2,500円+税   アマゾン  直 販

  ISBN:9784907625658(ダウンロード)、9784907625320(POD)
  2016年6月22日刊

 沖縄戦が事実上終結した1945年6月、米軍は捕虜になったばかりの「生身(なまみ)の捕虜(fresh POWs)」に対し、意識調査を行った。兵士らは、戦塵を振り払う間もなく、生死すら覚束ない状況下で戦場の話題や恥意識、戦後の日本のあり方等について答えている。戦場記憶を放出するほんの一瞬、自身の戦争を、戦場を語ったのである。ある意味で本調査は、回復困難な時代の精神が記録として残され、日本軍精神を今に伝える貴重な戦争遺産だと考えられる。
 これとともに、「沖縄日本兵に対する聴き取り調査」の結果も明らかにした。米軍は、日本軍心理を確かめるため比較的高学歴な兵士から聴き取り調査を行った。熾烈な戦場から生還できた兵士らは、自由に戦争観や天皇制等について意見を述べている。兵士らの答えは、軍人精神を表すとともに、国民一般の戦争観を表したものだろう。
 なお、本書は「沖縄戦捕虜の証言」(2015年、紫峰出版)と対をなすものである。捕虜尋問証言や意識調査に寄り添い、兵士の叫びやつぶやきが感じられるだろう。

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沖縄戦の集合的記憶-戦争日記と霊界口伝-

 保坂廣志 著 A5版 368ページ

  ダウンロード版  1,100円+税   グーグル
  印刷版(POD)   2,800円+税   アマゾン  直 販

  ISBN:9784907625597(ダウンロード)、9784907625382(POD)
  2017年10月1日刊

 誰も戦争を知らない時代が到来する。フランスの社会学者アルブヴァックスは、自分が経験しなくとも『集合的記憶』で過去を知ることが出来るという。時間が経過してもなお、戦争日記や手紙は人びとの目を捉えて離さない。沖縄土俗のシャ-マンは、死者を自身の肉体に憑依させ、死者の言葉で戦争を語る。さらに、戦争にまつわる幽霊は、社会的生命を宿したユ-レなのである。戦争日記や手紙、シャ-マンの祈り等にこめられた人々の感情をくみ取り、それを戦争記憶に焼き付けたのが本書である。ここから、沖縄戦は地べたや天界、海域からまなざす壮絶な戦いであったことが理解されるだろう。
 本書の公刊後、新たに沖縄戦日記を通時間的に紹介する『沖縄戦日記』を出版する予定である。二冊の本を通じて、戦争を記憶化する意味が表出されるだろう。

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沖縄・慶良間の「集団自決」-命令の形式を以てせざる命令

 伊藤秀美 著

  ダウンロード版     (B5版 400頁)  700円+税  グーグル
  印刷版(POD)    (B5版 400頁) 2,700円+税  アマゾン
  印刷版(PODモノクロ)(B5版 400頁) 2,600円+税  直 販

  ISBN:9784907625528(ダウンロード)
       9784907625504(POD)、  9784907625511(PODモノクロ)
  2020年2月1日刊

 沖縄「集団自決」裁判(2005年8月~2011年4月)で幾つかの重要な証言がなされ、それらを踏まえた裁判所の判断は、「集団自決に軍が深く関わったと認めるのが相当だが、命令の内容を認定することには躊躇を禁じ得ない」というものである。本書の関心は裁判所が判断を躊躇した部分にある。
 軍の命令は違法であっても無条件に実行される。命令者は無論、責任を問われるが、実際にはこれを回避する手段が存在した。それが本書の副題となっている「命令の形式を以てせざる命令」である。この語は、BC級戦犯裁判の被告となった西部軍司令官横山勇中将が法廷で使用した。横山司令官は、乗機が撃墜されて俘虜となった米軍搭乗員を裁判抜きで処刑した責任を問われたのだった。
 沖縄「集団自決」裁判において裁判所が命令の内容自体の認定に躊躇したのは曖昧さの故であるが、これこそが、「命令の形式を以てせざる命令」の特徴である。本書は、これをキーワードとして「集団自決」の命令の問題を論ずる。

 1944年7月のサイパン島の失陥を受け、居留民を抱えた戦闘をどうするかが大本営と政府で議論され、上陸防禦の基本方針の大転換もなされた。これらを踏まえ沖縄守備を担任する第32軍の牛島司令官の訓示が出された。
 特攻艇の秘密基地があった慶良間諸島では住民の疎開は禁じられ、狭い島内に逃げ場はない。防諜と作戦の阻害要因の除去を要求する軍司令官訓示に従えば、米軍が上陸すれば一般住民は自決させるほかない。そして、同訓示は、それをあからさまにではなく「懇ろに」、つまり「命令の形式を以てせざる命令」で伝えよとしている。
 慶良間諸島には特攻艇の部隊が3個戦隊配備されたが、座間味島に駐屯した第1戦隊と渡嘉敷島に駐屯した第3戦隊はこのスキームで命令を出し、「集団自決」が発生した。一方、阿嘉島と慶留間島に駐屯した第2戦隊は、軍司令官訓示ではなくそれより下位の上陸防禦戦闘の教令に従い、明示的に命令を出した。その結果、「集団自決」は、自決を命じた慶留間島で発生し、自決を止めた阿嘉島では発生しなかった。

 「集団自決」の規模は軍の対応だけでなく、当時国策として進めた警備方策、与論指導方策も大きく関わる。また、「集団自決」で悲劇が終わったわけではなく、渡嘉敷島では住民が多数処刑された。これらについても論ずる。

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あの日の記憶 石川・宮森ジェット機墜落事件

 保坂廣志 著
  ダウンロード版  800円+税   グーグル
  印刷版(POD) 1,800円+税  アマゾン  直 販

  ISBN:9784907625610(ダウンロード)、9784907625535(POD)
  2020年2月25日刊

 1959年6月30日、米軍ジェット戦闘機が(旧)石川市街地と宮森小学校に墜落・炎上した。事故による死者は児童12人(内1人は後遺症による)を含む18人、負傷者は210人に及ぶ大惨事となった。

 事故当時、児童はミルク給食を楽しんでいた。轟音とともに低学年教室を火炎が襲い、次いで6年生教室に機体が激突した。教師も児童も、わけがわからず「戦争だ」「戦争だ」と叫び、怒声が響いた。ひたすら子供たちは、「戦場地」よろしく逃げに逃げ、周辺の田畑、海岸へと駆け込み、父母の職場へと助けを求めた。学園は修羅場と化し、教室は業火に煽られ、衝撃でガラスが砕け散り、戸板に激突した者もいた。一瞬にして児童1,316人、幼稚園児200人の合計1,516人中、約1割の156人が重軽傷を負う、最悪の学園事件となった。

 1960年前後の沖縄は、「相対的安定期」と言われ、「石川・宮森ジェット機墜落事件」に触れる研究者はほとんどいない。あってもせいぜい一行程度の記述で、「ジェット機事件一行史」と皮肉混じりに呼ぶものもいる。

 本事件は、米軍統治下の大事故ではあるが、事件の凄惨さが言葉を閉じさせ、さらに被災者多数が肥厚性痕跡(ケロイド)を持つ児童たちであったため、事件からわずか数年後に人々の記憶から消えてしまった。しかし、記憶の継承は、学校や地域社会で形を変えて脈々と受け継がれ、2012年2月の「NPO法人石川・宮森630会」の設立とともに事件は再評価されることになった。

 事件当時沖縄は、米軍の実質的な軍事支配下にあり、遺族や被災者とその家族を中心に損害賠償運動が展開されたが、日本政府は勿論のこと、琉球政府や(旧)石川市の支援もほとんど得られなかった。反面、米軍は、反米・反基地感情を最小限に抑えるため、様々な策をとり、最後には遺族や被災者賠償金に関わる委員会をワシントンに直接立ち上げ、特異な支払い方法・解決策を案出している。これとともに、米国民政府は琉球政府と連携し住民説得を計り、軍事支配を有利になるよう各種の施策をとったことが判明する。やがて事件は、「記憶の穴」に落とし込められ、「石川・宮森ジェット機墜落事件」は歴史家や政治学を始め人々の記憶から抜け落ちていくこととなった。

 こうした中、「石川・宮森630会」は、米国公文書館が所有していた事件当時の米軍機密文書を入手し、事件から60年を目処に翻訳書を発刊することに決めた。私も翻訳監修に当たり、翻訳書は2019年6月20日、『資料集石川・宮森の惨劇-米国公文書館文書に見るジェット機墜落事件』という書名で公刊された。同書は、基本的には公文書を編纂したものであり、一般読者が手にして理解するにはどうしても通史や解説書の類が必要になろう。そこで私は、事件発生からその終息に至る過程を、内外の新聞紙、米国公文書、一般書籍、さらに体験者の証言録等を参考に、あらたに『あの日の記憶 石川・宮森ジェット機墜落事件』を書き下そうと試みた。

 本書を契機に、「石川・宮森ジェット機墜落事件」が人々に膾炙され、犠牲となった多くの方々や被災者への鎮魂・慰藉となれば幸いである。

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硫黄島・沖縄戦場日記 1,2

 保坂廣志 著
  ダウンロード版              2,200円+税  グーグル
  印刷版(POD) 第1巻(A5版 283頁) 2,400円+税  アマゾン   直 販
           第2巻(A5版 247頁) 2,200円+税  アマゾン   直 販

  ISBN:9784907625627(ダウンロード)
       9784907625542(POD1)、9784907625559(POD2)
  2021年6月1日刊

 硫黄島や沖縄において、米軍は日本兵の日記を系統的に収集し、翻訳を行った。日記には日本軍の行動や内部情報も記されることがあり、機密あるいは戦争犯罪に関わる情報を入手すべく、米軍は作業を進めた。

 一方、厳しい私物規制がある中で、日本兵は家族の写真や手紙、日記帳などを携帯し、敵との遭遇戦に挑んでいる。日本兵にとり日記は、自己が生存している証であり、戦場の怒りや悲しみを整序できるものであった。日本兵日記は、多くは戦場で廃棄され、わずかなものが英訳され米国に残されたが、陽の目を見ることは少なかった。今回硫黄島や沖縄戦で英訳された約30人の日記を収集し、日本語に反訳したものが本書である。

 併せて沖縄戦に参戦した米軍兵士およびヒストリアンの日記も掲載した。日米兵士を問わず日記は、文字通り「生の叫び」であり、生命の危機を実体験したものだけに可能な戦場証言である。敵味方が対峙し、敵の命を取ることに血眼な状況下、人は何に思いを致し、生をまなざしたかをあらためて感得したいものだ。

 第1巻は日本兵の、第2巻は米兵およびヒストリアンの日記を取り上げる。

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