通俗と学術の間                                      

量子論から見た西洋哲学史 石川史郎

量子論から見た西洋哲学史

  石川史郎著 A5版 208頁

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著者は、量子論にヒントを得て、科学を包括的に記述する言語「量子言語」を体系化した。科学的・技術的問題は既に「量子言語入門」(紫峰出版 2015年)で論じられている。本書はその最終的な到達点から西洋哲学を俯瞰したもので、量子論を全く知らない文系の人も読み進めることができるよう工夫されており、「量子言語」の文芸部分を敷衍したものとなっている。
具体的には、西洋哲学史における二つの問題に決着をつけている。
「(i) 西洋哲学は進歩・発展してきたのだろうか? または、「進歩・発展」の尺度は何か?」
「(ii) なぜ役に立たない西洋哲学が、2500年以上も西洋だけで繁栄し続けてきたのだろうか? なぜ世界標準にならなかったのだろうか?」 
 大学院講義ノートが基礎になっているが、堅苦しい部分はそっくり取り去られ、軽妙な語り口で過激に議論は展開する。著者の提示する西洋哲学史観に引きずりこまれるだろう。

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まえがき

著者は慶應義塾大学理工学部で (2013 年定年退職まで) 20 年間以上,「関数解析 (ヒルベルト空間論) と量子力学 (量子基礎論)」に関する大学院の講義を続けてきた. 内容的には下図全体である. 特に量子論【 ② - ⑦ - ⑩】と統計学【 ⑨ - ⑩】の部分は整理して, すでに成書
  (A) 量子言語入門 – 量子力学の言語的解釈 (大学院講義ノート)  紫峰出版
として出版されている.

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 理工学部の講義でも「科学」だけに集中するわけではない. 「文芸」の部分がないと息苦しい. 上図の西洋哲学史【 ⓪ - ① - ⑥ - ⑧ - ⑩】の文芸の部分についても, 退職を機に「実際の講義の痕跡」を残しておきたく思い, 本書
  (B) 量子論から見た西洋哲学史 紫峰出版
を出版することにした. ここに, 「量子論」とは, 「量子力学+量子言語」を意味する.講義では, 西洋哲学史【 ⓪ - ① - ⑥ - ⑧ 】の部分は十分な時間が取れなかったが, 本書では講義で飛ばした部分も補足した. 理系のセンスからすれば, 学術的なのは前著 (A) までで, 本著 (B) は遊びと見なされるかもしれないが, 著者は次の意味でかなり本気である:

• 図の ⑩の先に位置するかもしれない理論を発見したと信じている者ならば, 誰でもその理論の観点から西洋哲学史【 ⓪ - ① - ⑥ - ⑧ 】を鳥瞰して, そこから見える新しい西洋哲学史観の風景を語りたくなるものである. そして, 次の問:

(問) 物理学は進歩・発展してきたが, 純文学はどうだかわからな
い. 流行・ファッションだけだったのかもしれない. それでは, 西
洋哲学は, 進歩・発展してきたのだろうか?

に自信をもって「 Yes」と答えたくなるものである.

 一応, (A)が主テキストで, 本書 (B)は補助教材という位置づけであるが,本書を読むのには, 量子論の知識は一切不要である.その理由は,

• 本来は, 「量子論ではこれこれこうだから, 西洋哲学史をこう理解しよう」と書くべきところを, 理由の部分を省いて,「西洋哲学史をこう理解しよう」という結論だけしか書かなかったからである. また, 結論だけでは伝わりそうにないことは書かなかったからである. この意味では不完全であるが, さらに追究したい読者は主テキスト (A)を合わせて読めば十分な理解が得られるだろう.

 読者層としては一応大学初年度の学生を想定したが, 高校生でも読めると思う. 数物, 哲学を知らなくても単独に本書 (B) だけを読んでも楽しめるように著したつもりで, 堅いことを言わずに軽い気持ちで読み進めてもらいたい.
                         石 川 史 郎
                         2016 年 8 月
          著者サイト http://www.math.keio.ac.jp/~ishikawa/indexj.html

もくじ

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著者紹介

石川史郎(いしかわしろう)
1971年 慶應義塾大学(理)工学部卒業 
 1974年 同学部助手
 1986年 同学部准教授
 2013年 退職 
 工学博士 専門 科学哲学、関数解析、量子力学基礎論

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