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宇宙から見る気候危機 横山裕道

宇宙から見る気候危機  地球外知的生命がいたら!?

 横山裕道 著
  ダウンロード版     (A5版 170頁)  500円+税  グーグル
  印刷版(POD)    (A5版 170頁) 2,100円+税  アマゾン

  ISBN:9784907625696(ダウンロード)
       9784907625702(POD)、
  2024年3月10日刊

宇宙から見る気候危機

宇宙の視点から人類が直面する気候危機を読み解く
「環境問題をどう克服したのか」と宇宙人に尋ねたい
カラー写真・イラストを多く使って読みやすくした

 まず本の表紙に注目を……。宇宙船に乗ってどこか遠くの惑星からやって来た知的生命が地球をのぞき込んでいる。「何だか地球がおかしいぞ」と心配しているようだ。人類以上に文明を発展させた宇宙人なら、地球が置かれた状況をしっかり把握している可能性がある。こんなイメージを最初に持ってほしい。

 国連のグテレス事務総長が「気候崩壊」「地球沸騰化の時代」という表現を使ったように、地球温暖化による気候危機は深刻な状況になっている。このままでは世界各地で熱波や干ばつ、洪水などの異常気象、自然災害が多発し、食料や水不足から難民が急増するだろう。だが各国の温暖化対策は遅々として進まない。

 おまけに地球上では戦争や紛争が絶えず、核戦争の脅威もある。新型コロナウイルスが途上国や貧困層を直撃したが、もっと強烈な感染症が我々を襲ってもおかしくない。「人間の未来はいったいどうなるのか」と心配になってくる。

 宇宙の片隅の地球に生命が誕生し、進化を繰り返して知的生命の人類が登場した。その人類はずっと宇宙に憧れてきた。そもそも生命のもとは宇宙からもたらされた可能性がある。巨大隕石の落下が人類誕生のきっかけになるなど、我々と宇宙の関係は深い。地球の環境が一層ひどくなれば、人類の宇宙移住も現実味を帯びる。「宇宙は人間出現を意図していた」という人間原理の考え方もある。

 そこで宇宙の視点から、地球上の人類が化石燃料の大量使用による未曾有の気候危機を招いたことを振り返ってみることは、地球温暖化への理解を深め、解決策を見いだすために有意義ではないか――。こう考えて本書をまとめた。全体を通じて「我々と宇宙のつながり」「かけがえのない生命と宇宙」といった点を絶えず意識し、多角的に気候危機の問題を浮き彫りにしようとした。

 特に宇宙のどこかに存在する「知性」との接触を目指した地球外知的生命探査(SETI)にはたびたびスポットを当てた。もう一つの知的生命が人間以上の文明を発展させ、既にエネルギー・環境問題を克服している可能性がある。彼らとコミュニケーションできれば、気候危機を乗り切る重大なヒントを聞けるかも知れない。

 序章には<架空ドキュメント「宇宙人の存在を確認」>を置き、2040年の世界にタイムスリップした。夏の熱波は耐えられないほどのものになり、強暴化した台風が各地を襲う中で、中国が「地球外知的生命からの電波を検出した」と発表、世界は興奮の渦に包まれた……。迫力のあるドキュメントになっていると思う。

 その上で、〈「第2の地球」も異常事態体験か〉〈熱心に続く地球外知的生命探査〉〈地球上に出現した我ら知的生命〉〈科学技術がここまで進んでも〉〈人類の宇宙移住はあるのか〉〈人間出現を宇宙は意図していた!〉〈我々の未来はどうなるのか〉の7章構成にした。7章の最後に、もし地球外知的生命と交信が成功した場合、またとないチャンスととらえ、「あなた方の知恵をお借りしたい」と呼びかけるだろうという話にした。

 広大な宇宙と、我が地球に迫る気候危機のナラティブ(物語)にぜひ目を通していただきたい。

目次

はじめに
序章 架空ドキュメント「宇宙人の存在を確認」
 1 電波検出で世界が興奮――2040年
 2 湧き上がる「地球を救おう」の声
1章 「第2の地球」も異常事態体験か
 1 地球特有の危機ではなさそうだ
 2 もうタイプⅡ文明があるのでは
 3 人間や生態系に及ぶ深刻な影響
 4 科学者が最も恐れる気候の暴走
 5 我々を過酷な未来が待ち受ける
2章 熱心に続く地球外知的生命探査
 1 エイリアンとの交信を目指して
 2 「未知との遭遇」いつ実現するか
 3 運よくコンタクトできたならば
 4 高度文明の危機を克服したのか
 5 相次いで見つかる太陽系外惑星
 6 たとえ微生物発見でも意義深い
 7 宇宙人との遭遇に力入れるSF
3章 地球上に出現した我ら知的生命
 1 恐竜絶滅で哺乳類の出番がくる
 2 生命の宇宙起源説に支持広がる
 3 生命の誕生と進化は奇跡なのか
 4 古代の危機・全球凍結に耐えて
 5 試練乗り越え人類が頂点に立つ
 6 気候安定で現代文明が花開いた
 7 産業革命がCO?増加の引き金に 
4章 科学技術がここまで進んでも
 1 謎の解明はいまだ道半ばの宇宙
 2 遺伝子操作やAIの行き着く先
 3 限界ある温暖化・気候変動の研究
 4 展望開けぬ気候工学やCO?貯留
 5 夢で終わるのか宇宙太陽光発電
 6 傑出した学者とグレタさんの縁
5章 人類の宇宙移住はあるのか
 1 地球脱出を視野に入れる時代に
 2 火星を目指すも課題が山積する
 3 評価分かれたバイオスフィア2
 4 アポロから半世紀の危うい現実
 5 宇宙旅行を楽しむ時代が来ても
 6 現実味帯びてきた月面基地建設
 7 火星を超えての移住の見通しは
6章 人間出現を宇宙は意図していた!
 1 支持が広がる人間原理の考え方
 2 偶然ではなかった私たちの存在
 3 ビッグバンから人間の誕生まで
 4 もし生命誕生からやり直したら
 5 宇宙は人間がいるから存在する
 6 我々は宇宙に顔向けできるのか
 7 星々に生命を広げる責任あるか
7章 我々の未来はどうなるのか
 1 過去に5回あった生物大量絶滅
 2 進行中の「第6の生物大量絶滅」
 3 不名誉な人新世を抜け出したい
 4 いつ襲うか分からない巨大災害
 5 生き残ることが求められる人類
 6 文明の転換・社会の変革を急げ
 7 借りたい地球外知的生命の知恵
参考文献
おわりに

著者紹介

横山裕道(よこやま ひろみち)
科学・環境ジャーナリスト。1944年仙台市生まれ。東京大学理学部卒。同大学院理学系研究科修士課程修了。69年毎日新聞社入社、科学環境部長、論説委員などを歴任。2003年淑徳大学国際コミュニケーション学部教授。同大客員教授を経て17年4月から18年3月まで同大人文学部教授。現在、環境省「国内における毒ガス弾等に関する総合調査検討会」検討員、日本環境学会、認定NPO法人気候ネットワーク、認定NPO法人環境文明21、日本科学技術ジャーナリスト会議各会員。中央環境審議会特別委員・臨時委員、埼玉県環境審議会会長、同県和光市環境審議会会長などを務めた。著書に『次の大地震大研究 地震記者は訴える』(光人社)、『遺伝子のしくみと不思議』(日本文芸社)、『地球温暖化と気候変動』(七つ森書館)、『3.11学  地震と原発そして温暖化』(古今書院)、『いま地震予知を問う 迫る南海トラフ巨大地震』(化学同人)、『気候の暴走 地球温暖化が招く過酷な未来』(花伝社)、『原発と地球温暖化 「原子力は不可欠」の幻想』(紫峰出版)、『さまよえる地震予知 追い続けた記者の証言』(同)、『徹底検証!福島原発事故 何が問題だったのか』(化学同人、共著)などがある。千葉県柏市在住。

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