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量子論から見た西洋哲学史石川史郎

量子論から見た西洋哲学史

  石川史郎著 A5版 208頁 ISBN 978-4-907625-34-4

  ダウンロード版   100円+税   グーグル
  印刷版(POD)   1,700円+税   アマゾン

  ISBN:9784907625337(ダウンロード)、9784907625344(POD)
  2016年9月15日刊

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著者は、量子論にヒントを得て、科学を包括的に記述する言語「量子言語」を体系化した。科学的・技術的問題は既に「量子言語入門」(紫峰出版 2015年)で論じられている。本書はその最終的な到達点から西洋哲学を俯瞰した。量子論を全く知らない文系の人も読み進めることができるように工夫されていて、「量子言語」の文芸部分を敷衍したものとなっている。具体的には、西洋哲学史における最大の二つの難問を解決している。「(i) 進歩問題: 西洋哲学は進歩・発展してきたのだろうか? または、「進歩・発展」の尺度は何か?」と「(ii) 心身問題:「心」と「身体」は如何に関連し合っているか?」 大学院講義ノートが基礎になっているが、堅苦しい部分はそっくり取り去られ、軽妙な語り口で過激に議論は展開する。著者の提示する西洋哲学史観に引きずりこまれるだろう。

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まえがき

著者は慶應義塾大学理工学部で (2013 年定年退職まで) 20 年間以上,「関数解析 (ヒルベルト空間論) と量子力学 (量子基礎論)」に関する大学院の講義を続けてきた. 内容的には下図全体である. 特に量子論【 ② - ⑦ - ⑩】と統計学【 ⑨ - ⑩】の部分は整理して, すでに成書
  (A) 量子言語入門 – 量子力学の言語的解釈 (大学院講義ノート)  紫峰出版として出版されている.

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 理工学部の講義でも「科学」だけに集中するわけではない. 「文芸」の部分がないと息苦しい. 上図の西洋哲学史【 ⓪ - ① - ⑥ - ⑧ - ⑩】の文芸の部分についても, 退職を機に「実際の講義の痕跡」を残しておきたく思い, 本書を出版することにした. 理系のセンスからすると, 「遊び」と見なされるかもしれないが, 量子言語の観点から西洋哲学を俯瞰したもので, 量子論 (および, 量子言語) を全く知らない文系の人も読み進めることができるよう工夫して, 「量子言語」の文芸部分を敷衍したものである.

 「マイ哲学 (本書では, 量子言語)」を打ち立てたと確信している者ならば, 誰だってそのマイ哲学の枠組みの中で, 諸哲学 (プラトン, スコラ, デカルト,..., カント, フッサール等) を理解したくなるものである. 諸哲学と言っても, 結局は二元論的観念論の枠組みに納まるわけで, それならば量子言語 (=科学的に成功した唯一の二元論的観念論) の出番というわけである. 西洋哲学史を著すということは, マイ哲学の枠組みの中に諸哲学を無理やり押し込んで理解することであって, その出来栄えによって読者にマイ哲学の真価を問うことなのだと思う. そして,

• 物理学の信頼にニュートン力学 (確固たる一元論的実在論) の貢献は誰しも認めることと思う. 西洋哲学にいかがわしく思われている部分があるとしたら, 確固たる二元論的観念論 (=量子言語) の認知が一般には未だ浸透していないことである

と,読者は納得するだろう. 何か一つ確固たる指針がないとストリーがまとまらない.

 量子言語の最大のセールスポイントは「役に立つこと」であるが(「 (A)の量子言語入門」参照), 本書では文芸的側面に集中して, 西洋哲学史における二大未解決問題:
 
 (i) 心身問題 (「心」と「身体」は如何にして関係し合っているのか?)
 
 (ii) 因果問題 (因果関係とは何か?)
 
の完全解答を提示する. (i) と (ii) のいずれの問題も答えだけならば数行で書けるが (1.4.3 節), 読者の理解を深めるために,
 
 (iii) 西洋哲学史 (プラトン,..., デカルト,..., カント等) が進歩してきたことを (「進歩」の尺度は何か?等を) 説明しながら解答 (9.3.3 節) していくという形で進めたい.

 本書を読むのには, 量子論の知識は一切不要である. と言うのは, 本書は次の方針で書いたからである.

• 本来は, 「量子論ではこれこれこうだから, 西洋哲学史をこう理解しよう」と書くべきところを, 理由の部分を省いて,「西洋哲学史をこう理解しよう」という結論だけしか書かなかったからである. また, 結論だけでは伝わりそうにないことは書かなかったからである. この意味では不完全であるが, 量子言語の習得で一番難しいところは「計算力」なのだから, さらに追究したい読者は主テキスト (A) を合わせて読んだもらいたい.

 読者層としては一応大学初年度の学生を想定したが, 高校生でも読めると思う (大学院の講義の中で, 大学初年度の学生にも伝わる部分だけで本書を構成した). 数物, 哲学を知らなくても単独に本書だけを読んでも楽しめるように著したつもりで, 堅いことを言わずに軽い気持ちで読み進めてもらいたい. 特に, 文学部サイドの文芸的哲学以外の哲学を求めるならば, 本書から始めることを勧めたい.

なお、本書は初版に著者の最近の成果( A final solution to the mindbody problem by quantum language, JQIS, 7(2), 2017) を加えたものである. これに伴い主テーマが

(#1) 問いかけ:哲学は進歩したか?
から
(#2) 上の (#1) の議論を通して, 心身問題の解決

に変わったことを付記する.
                     石 川 史 郎
                     2017 年 6 月

   著者サイト http://www.math.keio.ac.jp/~ishikawa/indexe.html

もくじ

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あとがき

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